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12. May.2017 Photo by Sobaya Oyaji & Apple iPhone6

 

 五月、皐月

 もえぎ色....、黄色味の多い明るい緑色はまさしく「萌黄色」、「萌黄」とも「萌葱」とも書かれます。
 常緑樹の多い森のなかで板屋楓の新緑はひときわ爽やか、いずれにしても気持ちのいい黄緑色です。 
 緑色の濃淡には「深」と「浅」が使われます。 
 深緑、浅緑とか。 明るい緑が「浅緑」で、同時に緑がより薄くなると「若竹色」と言われてきました。 
 いきいきとした、緑の気に満ちた色彩の春に乾杯したいですが、今年の北海道・小樽の桜は遅い。
 芽吹き始めた楓が春の雨に潤み、その向こうに山桜が煙るのを「櫻萌黄」と呼ぶ、とその昔、京都で泊まった旅館の女将さんが教えてくれ、なんという色彩表現かと感嘆しました。
 「『遠くで淡い緑』に山桜の風情を『櫻萌黄』と言いますが、『重ね色』っていいのですね」、と。
 今やっと白と黒のモノトーンの季節から、「重ね色」の季節になる、そんなわが街・小樽。

 そんな小樽の街の蕎麦屋だから・・・、暖簾を変えました。
 浅葱色、萌黄色の暖簾。
 女将が刺した、刺子屋号入暖簾です。
 これで、小樽の町の春を表したい、との女将の思いのこもった暖簾です。
 その暖簾にマッチさせようと蔦が若葉を萌えています。

2017/05小樽蕎麦屋籔半玄関

 小樽という町は、急ぎ足で見て回るととても薄っぺらで安っぽく見える町かもしれません。 
 が、のんびりとそぞろ歩いていただくと、とてつもなく分厚く深度のある町とわかってもらえる。
 この町には、いわゆるハレとケ、聖と俗、ピンとキリが団扇の表裏にようにぴったり合わさって露地のそこここに風が流れる町なのです。
 黙って通えば、小樽が自分の休日になる。
 休日に小樽に行くのではなく、小樽に行くことが自分にとっての休日になる。
 だから急ぎ足で見て回らない、ゆっくりのんびり巡る町なのです。

 そんな町中に、蕎麦屋・籔半はひっそりと、身の丈で、いきづいていきたいと思いたがっております。