トップページへ 目次ページへ インフォメーションページへ マップ&アクセスページへ 駐車場ページへ リンクページへ メールページへ 英語版サイトへ プロフィールページへ

03.小樽蕎麦同業組合の設立

12. 終わりにかえて

 戦後の蕎麦史を語る上で、戦前との間に一線を画したのは、何も政治だけではなく、我が業界も混迷の中で途迷っていた。
 人々は貧しい食生活を忍びながら、将来への希望を見出していた。
 そして、我が業界は風俗営業の枠内にあった業者を含めて戦後に再生された業界は、見事に淘汰され整理されて面目を一新した。

 米国からの大量の食料援助により、民衆は飢餓から救われたものの、庶民の生活の重点は先ず食を得る事にあった。人々はアメリカナイズされ行く社会に新鮮さを求め、我が業界にも新しい芽が吹き出る基盤が育てられつつあった。
 当時の営業の有様は厳しい食料配給制度のもとで入手される原材料は微々たるもので、昼間の僅かな時間での商いに限られていた。
 それを越えて営業しようと思う者は、非合法的な手段で原料を買い、いわゆる闇物資を購入し営業を継いでいた。

 その様な環境の渦中で突如出現したのが
   ●故・小林幸平氏(両国)

であり、
   ●藤原泰爾氏(東家)
である。
  この両店は妙見川に添い開店、相競い合う立場にあって、共に味をモットーにして更科粉を原料にしたそばを市民に提供した。
 この事が、市民の間に圧倒的な人気を呼びブームを起こした。
 既存店に大きな衝撃と警鐘を与えたのは、否めない事実である。
 原料難の時代にあえて更科粉を使用した先見性と勇気、これに応えた製粉業者は将来への流れを感じとった。
 このご両人はそば職人として技術を公開し、数多の後継者を育成した功労者でもある。

 歴代の組合長は、それぞれ時代、場所に於いて発揮された手腕に異存はなく、大きな評価を与えられてしかるべきだが、とりわけ近代史をひもとき、現在小樽蕎麦商組合が市井の間にその存在が認められている理由を振りかえってみるとき、
  「小樽麺業界の歩み」
の著書を通して広く組合の存在を知らしめた
  ●故・森田哲央前組合長(一福)
またその意志を継ぎ組合員の技能と資質の向上を追求し、零細業界の蕎麦屋を経営体として育成・整備し、福祉を中心としたボランティア活動の途中で生涯を終えた、
  ●故・小川原昇前組合長(籔半本店)
の偉業を忘れてはならない。
 大きな功績として記録しておきたい。

 此の度、小樽蕎麦商組合創立100周年記念式典を迎えるに当たり、その昔「ヤマ福」「三マス」「東家」の縁者が中心になって結成された組合が、
  ・今日百周年記念大会委員長に「ヤマ福」ゆかりの宮下勝也組合長、
  ・実行委員長に「東家」ゆかりの藤原泰爾氏、
  ・実行委事務局長に「三マス」ゆかりの坂本修一氏

らの手によって式典が実施される運びになった。
 この妙なめぐり逢いを前にして、歴史の必然性と強い周縁を感じている。

 荒涼とした心の廃虚から立ち上がってもう60年。
 無からの出発と言う心情では、北海道開拓時代の諸先輩達と同じ想いの中にある。
 明治維新と敗戦後の再建、時代の大きな変革の土壌で気がつけば「そば屋」もその渦中にあった。
 日本の経済復興と共に歩み、我が業界も順調な足取りを重ねた。
 だが経済の成熟期を迎え、財政政策の失敗はバブルを生み、そして崩れた。
 「失われた10年」の新語で、それをあざ笑った。

 食生活の多様化、大型店の参入、価格破壊・値下げ競争、後継者不足、デフレ、不景気、消費の低迷、等々業界の悲鳴も聞こえる。
 この10年間で45人の小樽蕎麦商組合員が38人に減った。
 しかし、巷では市民の間で「手打ち蕎麦」が流行っている。
 プロ意識自覚の向上が急務だ。

 この度21世紀初頭の年に小樽蕎麦商組百周年の記念式典を迎えた。
 御同慶にたえない。
 業界の運勢の折り返し点として十分意気を感じている。
 会員諸氏には新たな研鑚をお願いし、日本食の代表としての「そば」の普及発展に努力されんことをただただ願って筆を置きたい。
 
 2001.11 錦秋

小樽蕎麦商組合常任相談役 三マス入船 宮村一郎


・・100周年記念誌編集委員会から一言。

 何分、平常は蕎麦屋としての営業と百周年実行委員会活動との平行作業での、入力・校正の連続で、素人故に誤字・脱字・誤入力は多々あるとおもわれますが、すべてその責任は「記念誌編集委員会」にあることをお断りする次第です。
 
 世はインターネット時代に入って久しく、わが小樽蕎麦商組合もホームページを立ち上げる時期がとうに到来しております。
 この記念誌に掲載された
  「小樽の麺業界」
の修正・加筆、更なる内容の豊富化は、常に更新処理の容易可能な小樽蕎麦商組合ホームページを是非とも誕生させることでカバーして行くことが、記念誌編集委員会の夢であることを申し添えます。
 誤字、脱字、記載漏れ等々の誤り、修正等がございましたならば、小樽蕎麦商組合にご連絡を頂きますようお願い申し上げます。

 小樽蕎麦商組合・百周年記念誌編集委員会委員長 籔半 小川原 格


参考文献:
●「そばうどん百味百題」 企画(社)日本麺類業団体連合会 柴田書店刊 1991年(平成3年)
●「蕎麦の世界」 新島繁・薩摩卯一共編 柴田書店刊 1985年(昭和60年)9月
●「蕎麦年代記」 新島繁著 柴田書店刊 2002年(平成14年)
●「小樽麺業界の歩み」 小樽蕎麦商組合刊 1970年(昭和45年)
●「つるつる」第 号、小樽蕎麦商組合青年会会報 
●「釧路東家百年史」
●「小樽食品衛生協会創立10周年記念誌」
●「函館そば百年」 函館麺類組合刊

目次ページに戻る  02.蕎麦屋の事始めページへ進む

このページの先頭へ


●お願い:
 本「小樽の蕎麦屋百年」に関係する資料提供や記載事項に関してのお問い合わせは、弊店メールアドレス
 info@yabuhan.co.jp へお願い致します。