晩夏から初秋は、蕎麦屋にとっていい酒肴があまりない時季です。
が、解禁が終わったばかりのその年の雲丹の「しお雲丹」がやっと登場します。
じっくり、ゆっくり、がんばらないで、大人の楽しみを。

04.牡蠣そば:Kaki Soba

 地物粉麺 ¥1,782 (¥1,960 税込) 
 並粉麺  ¥1,636 (¥1,800 税込)

期間限定:夏期六、七、八、九月お休みします

 秋十月から春五月までの、季節メニューの【 牡蠣蕎麦 】でございます。  小樽・蕎麦屋・籔半の暖かいお蕎麦メニューの中で、現店主が海の幸を具にしたお蕎麦の第一号です。
 以降でご紹介する小樽・蕎麦屋・籔半の「海のシリーズ」メニューが、この牡蠣蕎麦からスタートし、続々メニュー化されてきました。  海のミルクと呼ばれる、栄養価いっぱいの牡蠣。
 その海の香りいっぱいの牡蠣を、ぷっくりさせて、暖かいお蕎麦で召し上がっていただくためにひと工夫。

【牡蠣蕎麦】

 ふっくりとした牡蠣を一層ぷっくりとさせるために軽く炒めます。
 炒められて牡蠣が自ら迸らせるエキスが狙いなのです。
 そのエキスが、熱いフライパンで焦げをつくり、それが熱々の蕎麦つゆと渾然一体となって混ざり合う。
 と、蕎麦に含まれるわずかな脂質を引き出し、干椎茸が迸らせる旨味と競演しながら、一層蕎麦の旨味を際だて、弊店の牡蠣蕎麦となるのです。
 季節の生麩が、旨味をたっぷり吸い取り目に鮮やかです。
 牡蠣好きのお客様には、たまらない蕎麦メニューでございます。

 但し、帆立貝などにもしばしばございますが、貝毒素が発生した場合には、メニューから下げますのでご容赦下さい。

●使用食材:牡蠣・干し椎茸・生麩・三つ葉・柚子・長葱
●使用原料:蕎麦粉・小麦粉・鰹節 (四種類)・醤油・砂糖・味醂・日本酒・植物油

にしん群来蕎麦: Nishin Kuki Soba

 地物粉麺 ¥1,860 (¥1,691+税)
 並粉麺 ¥1,700 (¥1,545+税)

期間限定:にしん漁解禁の毎年二、三月のみと祝津・にしん群来祭り期間のみ

【にしん群来蕎麦】

 産卵期を迎えたにしんが大群で浅瀬に押し寄せて産卵して、海が乳白色に染まる現象を
「群来(くき)」
 といいます。
 しかし、昭和29年(弊店創業の年)以来途絶えていた「にしんの群来」が、2008(平成21)年以来、再到来しております。

小樽港南防波堤の外側の熊碓海岸に現れた2012(平成24)年の「群来」

 ほんの小さな小樽思いのグループと蕎麦打ち思いのグループの「小樽の名物を目指す」という試みが、昨年春から展開され、それなら弊店も賛同しなきゃ蕎麦屋でない、とやってみました。
 そのグループが、「小樽群来そばプロジェクト実行委員会」です。
 産卵期を迎えたにしんが大群で浅瀬に押し寄せて産卵して、海が乳白色に染まる現象を群来といいます。
 今年2月、小樽の前浜の至る所で起こり、かつての小樽の繁栄を支えたにしん漁が、少しずつ回復の様子を見せているのです
 この昭和29年以来途絶えていたにしんの群来の再到来を契機に、ニシン漁によって拓かれた小樽漁業文化は勿論、近海産ニシンはもとより、海の森の細目昆布、小樽産ソバや自然薯、そして豊かな自然に育まれた「小樽の水」、これら食材をまとめ上げると「小樽にしん群来そば」になるではないか、それを小樽の魅力として発信しようというのが、
「小樽群来そばプロジェクト」
なのです
この「小樽群来そばプロジェクト実行委員会」は以下の活動を精力的にやってこられた。

 彼らは実に心意気高く、すべて「小樽産」を追い求める

  • 蕎麦粉:忍路水車の会の皆さんの協力で、忍路ストーンサークル

 近くの畑でソバ栽培をし、

  • 鰊:小樽近海で獲れた鰊の甘露煮
  • 数の子:同じく小樽近海で獲れた鰊から採取した数の子
  • 昆布:小樽産若芽昆布
  • 芋:ねまり芋(忍路地区・柿崎さん栽培)

 という食材での「鰊群来そば」をと考えておられる。
 しかし、残念がら昨年の夏季長雨と日照不足で、道東・道北のソバ栽培専業農家が全滅に近い収穫で、小樽群来そばプロジェクト実行委員会の頑張られたソバ栽培も昨年は不調だった。
 まあ、ことほど左様に「地産地消」にこだわることは大変なわけで、少し思いを緩めてもらい、弊店はすぐ賄える食材でやってみようとやってみたわけです。
 小樽群来そばプロジェクト実行委員会さんは、冷たい蕎麦でやりたいというが、鰊が群れて産卵にくる「群来」の季節は2月から3月、そんな寒い時期には、弊店は熱々の蕎麦メニューでと。

 これが、旨い。
 すり下ろしたトロロとワカメのとろとろ感と自己主張する鰊の棒煮、そしてトッピング感覚で添えた数の子のミスマッチ的食感。
 ボリュームもあり、これ、いけます。

●使用食材:身欠き鰊・数の子・若布・長芋・木の芽・針海苔・長葱
●使用原料:蕎麦粉・小麦粉・鰹節(四種類)・醤油・砂糖・味醂・日本酒

日本海のプレゼント《しお雲丹》:Shiouni

¥550 (¥500+税)

● 日本海を酒肴にしてしまう酒肴:塩雲丹

 だれでも今日はシンプルにいきたい日って・・ある。

 そんなとき、ちょっぴり「しお雲丹」を箸の先でとり、嘗め、ちょっぴり純米酒・「ひこ孫」を呑む。
 小さい蒼い炎がのど元をつうと走り抜け、思わずふうっと黄金の吐息が漏れる。

 舌にねっとりとまとわりつく「しお雲丹」は、北海道後志の日本海の荒磯の濃厚な香りを鼻の奥に充溢させ、そこに「ひこ孫」のベルベットのような芳醇なふくらみが、後を追って絡み融け込む。
 塩辛い「しお雲丹」は、塩分摂取量が云々などという心配など吐息と一緒に流してしまう。
 そう、輝く「しお雲丹」をマッチ棒の先ほどに掬い取り、 海をわが舌の上に!
 そして、日本で最初に全量を純米酒製造に切り替えた「神亀酒造」の誇り、ボディの強い「ひこ孫」を一口。


 そのとき・・・、他にお客がいる蕎麦屋の世界が自分一人だけのものになり、体の輪郭が蕎麦屋の空気に融け込み、散華するような恍惚感に包まれていく。

 蕎麦屋酒の 至福の瞬間。

夏で消費したエネルギーを取り戻す「加賀の丸芋おろし:わさび芋」

¥650 (¥591+税)

 石川県能美市及び小松市で栽培されている「やまのいも」だけが
「加賀の丸いも」
 と呼ばれます。
 その粘りたるや、尋常ではありません。
 ご注文を頂くと、若い衆が顔を真っ赤にして特大サイズの「鮫皮おろし」で、一気に摺りおろします。

 北海道で見かける「長芋トロロ」と何処が違うかといいますと、第一にその「粘り」です。
 これを召し上がって頂くには、長いもトロロのように醤油をかけてとくのではなく、おろした本ワサをちょっと摺り下ろした芋に載せ、箸でちぎりすくい取り、醤油をチョンとつけて頂きます。

 この粘りの成分である「ムチン」が、体にいいのです。
 連夜のアルコール漬けに、精力をつけるのに最適です。

町の豆腐屋さんの《冷奴》:Hiya Yakko

¥470 (¥427+税)

 日本が誇る食材・豆腐。
 スーパーにいけば色々な豆腐がずらりとならんでおりますねぇ。
 客寄せ廉価価格の味も素っ気もない大量生産安価豆腐もあれば、庶民の豆腐にそんな価格つけてどうするという高価な豆腐が並んでいます。

 が、水が旨い小樽の街の当たり前の旨さを誇る「町の豆腐屋さん」の「木綿豆腐」の姿はない。
 スーパーの格安商品ではなく、本当に大豆と小樽の水で 毎朝額に汗を流し家族総出で作られる、木綿豆腐の旨さを是非とも知っていただきたい。

 焼き豆腐や厚揚げも、そうです。
 中身がスカスカの厚揚げや小揚げと、毎日手造りで作られる「町の豆腐屋さん」のそれとでは、雲泥の差があります。
 みっしりと中身のある厚揚げや小揚げを、一度子供さんに食べさせて頂きたい。
 大量生産で安価価格で作られる厚揚げや小揚げが、実はマガイものであったことを、親子で知ることでしょう。

【好いた主のためならば わたしゃ豆腐の心意気】
 その心は?
【たとえ湯の中 水の底】

あられ蕎麦:Arare Soba

 地物粉麺¥1,960 (¥1,782+税)
 並粉麺 ¥1,800 (¥1,636+税)

期間限定:春から初夏にかけて

【あられ蕎麦】

 馥郁たる江戸の香り。
 千葉は青柳海岸で獲れることから名付けられた青柳貝の小柱(貝柱)を、敷海苔で頂くお蕎麦でございます。
 海の幸と山の幸が蕎麦丼の中に織りなす、淡泊にして豊穣なる味のハーモニー。

 蕎麦つゆに溶け出た小柱の旨味とコクと敷海苔の磯の香りの世界。
 磯の香りを満喫して頂くために蓋をしてお客さまに提供します。
 そっと丼の蓋をあけると、湯気と一緒に磯の香りが立ち上ります。
 薬味皿に添えた、おろしわさびを薬味に召し上がって頂きます。

*青柳貝の小柱の刺身《はしらわさび》を日本酒で一杯!は如何でしょうか?

 弊店納品も安定しておりません。
 入荷したかどうか、お電話等でお確かめのうえ、御来店、お召し上がり頂くようお願いもうしあげます。
 「地産地消」など、掛け声だけでは残念ながら出来ないわけです。

●使用食材:青柳貝貝柱・敷海苔・三つ葉・おろしわさび
●使用原料:蕎麦粉・小麦粉・鰹節(四種類)・醤油・砂糖・味醂・日本酒

馥郁たる日本海の恵み《柱わさび》:Hashira Wasabi

¥950 (¥864+税)

期間限定:春から初夏にかけて

【柱わさび】

 繊細な中に自己主張する、淡泊にして芳醇なる味。
 北海道・後志(しりべし)は寿都(すっつ)産、時期によっては北海道・根
室の標津産の
「青柳貝の貝柱(別名小柱)」
 を、本わさびで粋につつきます。
 究極の蕎麦屋の刺身です。

お詫び: 例年ならたっぷり入荷する「青柳貝の小柱(貝柱)」の入荷が不安定で、頭が痛いです。

 味は最高。
 でも、入荷が不安定ですので、蕎麦屋酒の酒肴の「柱わさび」や「あられそば」をお目当てのお客様は、事前にお電話頂き、入荷を確かめてご来店頂きますよう、お願い申し上げます。

 「地産地消」は叫べばできるわけではなく、頑張らないと持続しません(^^)
その蕎麦屋の苦労は、
《小樽・蕎麦屋・籔半 麺遊倶楽部・蕎麦屋親爺の問わず語り・地産地消なんて、あおやぎ編》
 をどうぞ!

町の豆腐屋さんの湯豆腐《雪見豆腐》:Yukimi Toufu

¥780 (¥709+税)

期間限定:秋から春にかけて

 日本が誇る食材・豆腐。
 その豆腐の味がどんどん希薄化してきております。
 廉価にするための大量生産で、無味無臭の豆腐になってしまいました。

 豆腐が濃厚なのか、って?
 弊店の、大根おろしに浸りおダシと昆布でゆっくり茹がかれた熱々の湯豆腐を試されたら、わかります。

 ・・もうスーパーで売られる客寄せ廉価木綿豆腐は二度とたべられません。

日本最大と言っていい滋味豊かな小樽産しゃこを《焼きしゃこ》で:Yaki Shako

¥1,100 (¥1,000+税)

期間限定:11月から

 今や高級寿司ネタとなった「しゃこ」ですが、小樽では春と秋の味覚が「しゃこ」なのです。

 そう、「旬」が年に二度あるなんて、いいでしょう。
小樽のしゃこは特に大ぶりでコクがあると人気です。

 一般的なものは8センチ程度ですが、小樽産のオスは1尾Lサイズで 25cm、重さ50gもあり、他の漁港では見られない大きさと滋味、
 とりわけ秋シャコは濃密な味を誇ります。
 メスはオレンジ色の卵を持っており、コリコリした食感です。
 産卵前の卵が熟した子持ちが獲れる春と、脱皮後の引き締まった身が特徴の 秋、どちらもおすすめです。
 小樽のシャコ漁は、春しゃこ(5〜6月)と、全国的にも珍しく秋しゃこ(10〜11月)にも行われます。

 その小樽産しゃこを焼き、蕎麦つゆの元・カエシをベースにした「煮切り」で召し上がっていただきます。
 オス・メス各一匹。

日本最大と言っていい滋味豊かな小樽産しゃこを《しゃこヌタ》で:Shakonuta

¥825 (¥750+税)

期間限定:11月から

【シャコヌタ】

 むっちりと身の詰まった今が旬の小樽産「秋シャコ」を,西京味噌のヌタでお召し上がり下さい。

日本海からの贈り物《たちかま》:Tachi Kama

¥660 (¥600+税)

期間限定:冬

 小樽から1時間、岩内(イワナイ)の老婦人が一人守り続けた来た、スケトウタラの白子(タチ)と塩だけで造る、海の香り一杯の馥郁たる蒲鉾(?)です。
漁師の昔ながらの知恵で創られた、小樽・後志の豊穣の海からのプレゼントでございます。

 鍋の具にして煮ても良しですが、弊店ではスライスしてわさび醤油で粋にお召し上がりいただきます。

但し、真冬のスケトウタラ漁の漁船が時化(しけ)で出港できないと、勿論この「タチの蒲鉾」=タチカマも製造できません。

そうなければ、メニュウとしてお出しする事はできませんのでその際はお許し下さい。

女将自家製《ニシン漬け》:Nishin-Zuke

¥580 (¥527+税)

期間限定:冬

 蕎麦屋女将の手作り《ニシン漬》 12月〜2月

 干し大根・身欠きニシン・キャベツ・糠・粗塩・鷹の爪だけ。
 何も足さない、何も引かない・・・。
 大女将から直伝で、女将の采配でつくられます。

 シンプル故に、嵌れば泥濘の《ニシン漬》でございます。
 毎年、大好評で大晦日前には終了してございます。
 どうぞ、お早めにお越し下さり、熱燗・ぬる燗のお酒の肴でお楽しみくださいませ。

店主からのお願い

弊店では、蕎麦(麺)は北海道、後志(しりべし)は蘭越産ソバ粉、旭川の西五〇キロ空知エリアの北竜町ソバ粉で打った『地物粉麺』がございます。
それに上記北海道産ソバ粉と北米産ソバ粉をブレンドした『並粉麺』の二種類の麺をご用意しており、お客様のお好みでご注文の際どちらかを選んでいただきます。
『地物粉麺』はお値段の点で少々お高くなりますが国内産の特徴である、コシ、喉越し、風味に優れますし、『並粉麺』は先代創業から六〇有余年、永年のお客様にご支持を頂く弊店の原点の更科系の麺でございます。
どちらの蕎麦(麺)も、夏の燦々と照り続ける太陽と北海道の肥沃な大地の恵みのなかで育てるソバ栽培農家の「心意気」、そして毎早朝から額に汗を浮かべ蕎麦を打ちダシを取る蕎麦屋職人の「意地」、そう「心意気」と「意地」が織りなす世界でございます。
尚、お値段はすべて外税表示でございます。

About our Yabuhan's soba-noodle.

 We make our soba-noodle from two different types of buckwheat flour.
 “Jimono-ko(地物粉)” is grown in Rankoshi about 100 km away from Otaru.
 “Nami-ko(並粉)” is blend of Rankoshi buckwheat flour and imported buckwheat from United States.
 Please choose either when you order.
 The price of “jimono-ko” soba is a little bit higher, but its great flavour and rich aroma are what make it so special.
 “Nami-ko”soba enjoys its popularity more than 60 years since the day of our establishment.
 As for the Rankoshi buckwheat flour we use, it is delivered the next day we order, and we make noodle from it every morning.
 About 100 soba restaurants invested jointly and bought a buckwheat field in Rankoshi, Hokkaido, and established a milling plant. This makes it easy for the restaurants invested jointly and bought a buckwheat field in Rankoshi, Hokkaido, and established a milling plant.  This makes it easy for the restaurants to keep and serve fresh buckwheat noodle.
 Without the shining sun in summer, fertile and rich field in Hokkaido, and love and passion of buckwheat farmers and soba chef, this soba noodle can't exist.

* the price is excluding 10% tax.